交差点の優先関係・どちらが優先かのルールと実際
優先道路・判断についての法律
「信号機がない交差点、どっちが優先か分からない」という質問をよく承ります。
ペーパードライバーの皆様が疑問に思うのは当然です。なぜなら、ベテラン運転手でも正確にルールを理解している人は少ないからです。
まずは、正しいルールをしっかり覚えてください。その上で現実とのギャップも考慮しつつ安全でスムーズな運転を目指しましょう
1.中央線がある方が「優先道路」
「優先道路」というのは、図の標識があるか中央線が交差点の中まで通っている方をいいます。つまりA車が優先です。
「優先道路」には、見通しが悪くても徐行する義務がなく、交差点内の追い越しも認められるというルールが付け加えられています。
つまり、それほど鮮明に優先関係上位を示せているということです。
実際には、追い越しはやめておいた方がよいと思いますが、徐行は本当にしません。
しかし、危険と思う場所ではアクセルをやめたり、足をブレーキに移動するなどの危険回避準備は必要です。
2.中央線が無かったら明らかに道幅の広い方が優先
先に述べた「優先道路」ほど鮮明に優先関係を表しているわけではないのですが、法的には「明らかに道幅の広い方が優先」となります。つまりA車が優先です。
よく専門家のような人でも「道幅が広い方が優先道路です」と言い切ってしまっているのを見かけますが、法的にはその言い方は正しくありません。
なぜなら「道幅が広い方」は優先ですが、法の定義では「優先道路」ではありませんので、見通しが悪ければ徐行する義務があり、交差点内の追い越しは禁止されているからです。
3.中央線がなく道幅も同じくらいなら左方向の車が優先
中央線がなく、どちらの道幅同じくらいで、止まれの標識もない。
この場合、法的には左方から進行してきた車が優先となります。つまりB車が優先です。
「法的には」というところがポイントで、その通りになっていないのが現実ですので注意が必要です。
なぜなら、このルールを知っている運転手が少ないから
では、現実はどうなっているのでしょう。
1.アイコンタクトやジェスチャーで譲ったり譲られたりしている。
2.強気な性格の人が先に行っている。
3.両方弱気でしばらくフリーズしている。
など色々ですが、両方強気でトラブってしまうのだけは避けたいですね。
1番ができれば理想ですので、頑張ってください。
4.止まれの標識がある側が道を譲る
「止まれの標識」がある場合は、一時停止をして交差側の交通に進路を譲らなければならなりません。
従って、必然的に止まれがない方の車が優先ということになります。つまりB車が優先です。
しかし、止まれがない方の車からは、相手に止まれの標識があるかが分かりにくい場合が多いです。
そのような見通しが悪い交差点では、最初に説明した「優先道路」でない限り徐行してよく安全を確かめながら通行しましょう。
世の中では、このような交差点で小さな事故が多発しているのです。
以上が道路交通法に定められた交差点の優先関係です。
1.中央線がある方が優先
2.中央線がなければ明らかに幅が広い方が優先
3.道幅が同じ場合は左方が優先
4.止まれの標識がない方が優先
実際には、4番の止まれの標識をもとに判断されていることがほとんどです。
つまり、信号機のない交差点を通行するときは「どちらが止まれかな」と探す必要があります。
くれぐれも標識の見落としには気を付けましょう。
ここからは法定外のお話です
交差点の中までドットラインがある
図のような「ドットライン」は、法的な効力はなく「法定外表示」というものになります。一般的にはA車が優先で成り立っているのですが、「左方優先」の交差点なので法的にはB車が優先ということになります。
皆様が運転するときは一般的解釈に合わせて動くことになるので、もしA車の方であれば先に行くことになります。
しかし、事故が起きるとA車が不利になる可能性が高いのでB車の動きに十分注意して通行してください。
以下に、「ドットライン」についての警察庁交通局の指針を引用します。
「信号機のない交差点等で車道外側線等を破線で延長し、交差点の存在や車両の通行区分を明示することが望ましい場合は必要に応じてドットラインを設置する。ただし、優先関係の表示と誤認される恐れがあることから、優先関係が明確でない交差点部には設置しないこと」
とあるので「優先関係は示していない」といっているのですが、実際にはこのような交差点も存在します。
車道外側線や路側帯がなく警察庁交通局の示す「車道外側線等を破線で延長」の文言が当てはまらないので「優先関係が明確でない道路には設置しないこと」も当てはまらない(当該ドットラインではない)と考えられるのですが「優先関係の表示と誤認される恐れがあることから、優先関係が明確でない交差点部には設置しないこと」という注意書きが完全に無視されています。もちろん、実際にはこのまま直進するのですが、くれぐれも徐行して安全を確かめながら通行しましょう。
この場所は、法的には「左方優先」の交差点です。
道幅が同じT字路
先に述べた「ドットライン」の話と似ているのですが、一般的にはB車(直進側)が優先で成り立っている交差点です。
法的には「左方優先」の交差点なのでA車が優先です。
皆様が運転するときは、一般的解釈で直線道路が優先という動きをすることになりますが、事故が起きるとB車の方が不利になる可能性が高いのでA車の動きに十分注意して通行して下さい。
いかがでしたでしょうか。ルールと実際の違いに戸惑うこともあるかもしれませんが、大切なのは自分が事故らないことです。
何だか分からない交差点に差し掛かったときは、必ず相手の運転手を見て行動しましょう。
自転車でもバイクでもそうですが、乗り物ではなく運転手を見て意思疎通を図りながら運転することが大切です。
なぜなら、そのような交差点では相手も正確なルールを理解していない可能性が高いので、結局アイコンタクトや意思疎通が必要になるのです
この記事を書いた指導員
佐光 昭和(さこうあきかず) 1972生 | |
1997年 | 埼玉県の指定自動車教習所 「セイコーモータースクール」勤務 「教習指導員資格」取得。 以後約15年間、技能・学科教習・技能検定などに従事。 |
2004年 | 「技能検定員資格」取得。 |
2005年 | 「技能教習チームリーダー」に就任。 |
2007年 | 「学科教習責任者」に就任 「新規指導員養成責任者」を兼任。 |
2007年 2008年 2009年 | 3年間連続「埼玉県鴻巣免許センター学科試験合格率第1位」を獲得。 学科試験対策問題集を監修・発行。 |
2011年 | セイコーモータースクール退社。 |
2011年 | 埼玉県富士見市にて ペーパーキャッツを開業。 |