右折の仕方・待ち方・タイミング
基本的な右折の流れ
下の図は、一般的な交差点の右折の流れを示したものです。
世の中これほどたくさんの方が運転をしているのですから、きちんと理解をしてから実践すれば
自分にも必ずできます。
重要なのは1.2.3の確認
「右折がこわい」
初心者やペーパードライバーの皆様からよく相談されます。一つ間違えば事故ですから怖いのは当然で、むしろ上達してからもその気持ちは忘れないでいただきたいのですが、怖くて右折が出来なかったら始まらないので解説します。
怖い理由の代表は、いつ曲がってよいのか頭の中で整理されていないから。
もちろん、その前に「ブレーキやハンドルなど操作面の未熟さ」があるのですがここでは割愛します。
運転に不慣れな方ほど、交差点が近づくと色々なところを見ようとしすぎて無理が生じ、下記のような症状を起こします。
1.色々見すぎて消化不良を起こしたまま曲がろうとして危なくなる。
2.右折直前になっても判断が出来ていなくて止まってしまう。
これらを解決するにはどうしたらよいのでしょうか。
大切なことは、確認するべきところをあらかじめ頭の中に準備することです。
それは主に、図に示した1.2.3の3か所です。
青信号の場合、必要以上に色々なものにとらわれず、1.2.3の場所を徹底確認して、よかったら行きます。
できれば他の場所も見るに越したことはないのですが、人間そんなに短時間で色々と見れるものではありません。
機会がありましたら、信号交差点で右折している運転手を観察してみて下さい。ほとんどの運転手はその3か所しか見ていません。
時々その3か所すら見ていない人がいますが、そこだけはしっかり見て下さい。
確認するべきところはご説明しましたが、対向車の判断には個人差があるので注意が必要です。
「対向車がいるとき先に曲がってよいかどうかの判断が出来ない」という質問もよく承りますが、その交差点を5秒で曲がれるベテラン運転手と、曲がるのに10秒かかるペーパードライバーで当然行く行かないの判断は異なります。
曲がる時間が2倍かかるなら、対向車の判断も2倍見積もらなければならないからです。
細かくいえば、見るべきところを見るスピードも違います。
認知力・判断力・操作力、全てにおいてベテランとは違いますから、慣れてる人なら行くかもしれないけど自分には無理と思ったらやめる勇気も必要です。
たとえ後ろのベテランが「ブーー」っとクラクションを鳴らしても、
「ふふふ計算通り」
だいじょうぶ!その後、何が起こるわけでもありません。
教習中にもそのような出来事はありますが、ブーっと鳴らされておしまいです。
よく、テレビで執拗にあおられて攻撃をされている報道を見かけますが「右折できるタイミングを逃した程度ではない何か」をその前にやって怒らせているのだと思います(割り込みやクラクションなど)。
ペーパードライバーたるもの、一回や二回クラクションを鳴らされたくらいで決して動じてはいけません。
右折の待ち位置がわからない
「対向車が来ている場合にどこで待つのかが分からない」というのもよくある質問です。実際には交差点の形状によって異なるのですが、ここでは基本的な待ち方を解説します。
正しい待ち位置
道路の中央に寄り、交差点の中に入って、まっすぐ待つ。
これが基本になります。
交差点の中に入っているので、このあと対向車が途切れず信号が黄色や赤色に変わっても右折することができます(左右の信号待ちをしている車から認識されていることが大切です)。
その際、信号の変わり目なのでゆっくりはしていられないのですが、対向車が止まりそうかをきちんと判断してからになります。
信号が変わっているのに、無理に突っ込んでくる対向車もいますので
時として、交差点内に入れない狭い交差点であったり、まっすぐではなく斜めに待つような指示線があったりという例外もあるのですが、ここでは基本をまず覚えましょう。
後続車の邪魔になる待ち方
図のように不必要に斜めにしてしまうと、後続車の通行を妨げたり、追突されて対向車線の方に押し出されたりと、トラブルの原因になります。
通常の交差点では、傾けないでまっすぐ待つのが理想です。
前に出すぎて対向車に迷惑
図のように中心まで前に行ってしまうと、対向右折車の通行を妨げることになります。
また、前に出すぎたことによってハンドルを右に回す操作量が増え、自分も右折の操作が大変になります(前に出るほどたくさんハンドルを回さなければならなくなります)。
手元の操作が忙しくなると周囲に気を配れなくなりますので、操作量を減らすことは重要です。
手前で待ちすぎ
交差点の手前で待つのは問題ないように思えますが、このあと信号が黄色に変わったときに困ることになります。
黄色に変わって右折を開始すると、周囲からは信号が変わってから突然車が交差点に入ってきたように見えるので、信号の変わり目の事故を誘発します。
一方、黄色に変わって右折を開始しなかったら、この図の位置のまま中途半端に取り残されて、歩行者やその他交通の邪魔になってしまします。
従って、もう少し前に出て周囲の交通から認識される存在になっておき、信号の変わり目では頑張って右折しましょう。
矢印が出る信号右折の待ち位置
「矢印が出る信号でどこで待つのかの違いがわからない」との質問もよく承りますので図解でご説明します。
上の信号が青色の場合
道路の中央に寄り、交差点の中に入って、まっすぐ待つ。
という先に述べた基本の右折と同じになります。
青信号ですので、矢印が出ていなくてもチャンスがあったら右折を開始します。
チャンスがなかった場合、渋滞を防止するためにこのような矢印信号になりますので、速やかに右折を開始します。
この信号の時は、他の交通は赤信号で止まっているはずですので、できる限り速やかに右折をするべきですが、注意は怠らないようにしましょう。
直進・左折矢印のみの場合
信号の色は赤信号ですので、右折矢印→が出るまで停止線の直前で待ちます。
交差点内に入ってはいけません。
右折をさせないためにこのような信号にしていますので、この状態で右折車が交差点に入ると信号無視の違反となります。
赤信号ですから
右矢印→が点いたら速やかに右折を開始してください。
ひと言でいうと「右矢印→が点いたら行くだけ」なので、対向車の判断が難しいと思っているペーパードライバーの皆様にはとても優しい信号です。
しかしながら、となりの直進車が動くとつい青信号になったと思い込んで右矢印が点いていないのにうっかり右折してしまう可能性がありますので注意が必要です。
例外的な交差点の例
埼玉県三芳町の交差点
右上の看板が見えるでしょうか。
拡大してみていただくと分かるのですが、進行方向が特殊ですので、待つ位置も通常の交差点とは異なります。
看板に示されている〇方向に進み、赤い車の位置で対向車を待ちます。
その際、右折方向の信号が赤でもチャンスがあったら右折することが可能です。
埼玉県
上福岡駅入口交差点
こちらの交差点は、川越街道側から右折をするとかなり難易度高めです。
この画像では対向右折車として黒い軽自動車がいて、その陰で直進してくる対向車の確認が難しくなっています。
黒い軽自動車がトラックだった場合、さらに直進対向車の確認が困難になります。
その場合は、頑張って少しずつ右に移動して対向車が見える位置にポジションをとるのが理想なのですが・・・。
無理なら右矢印→の信号がでるまであきらめて待ちましょう。
くれぐれも後続車のプレッシャーに負けてあせって行ってしまわないように!
埼玉県川越市新宿北交差点
交通量が多く、万年渋滞の川越街道「新宿北交差点」です。
交差点の形状が複雑なので右折の走行位置を誘導する点線が引いてありますね。
法的なものではないのですが、せっかく親切に誘導してくれているので、それに従って点線の手前で待ちましょう。
事故が多い交差点なので焦って判断するのは危険です。
サンキュー事故
右折時のよくある事故のパターンに「サンキュー事故」と呼ばれるものがあります。
対向車がパッシング(前照灯を点滅させる行為)などで「お先にどうぞ」と譲ってくれた場合に、お礼をしながら事故になるのでそう呼ばれています。
譲られたら「早くいかないとお待たせしては申し訳ない」という心理が誰しも働くと思いますが、死角からの二輪車と右折先の歩行者・自転車の確認は必ず意識しましょう。
この記事を書いた指導員
佐光 昭和(さこうあきかず) 1972生 | |
1997年 | 埼玉県の指定自動車教習所 「セイコーモータースクール」勤務 「教習指導員資格」取得。 以後約15年間、技能・学科教習・技能検定などに従事。 |
2004年 | 「技能検定員資格」取得。 |
2005年 | 「技能教習チームリーダー」に就任。 |
2007年 | 「学科教習責任者」に就任 「新規指導員養成責任者」を兼任。 |
2007年 2008年 2009年 | 3年間連続「埼玉県鴻巣免許センター学科試験合格率第1位」を獲得。 学科試験対策問題集を監修・発行。 |
2011年 | セイコーモータースクール退社。 |
2011年 | 埼玉県富士見市にて ペーパーキャッツを開業。 |